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「遺体~明日への十日間」

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★★★★
「遺体 明日への10日間」少し遅れて今熊谷で上映しているので
見てきました。
朝早かったせいもあって上映時間でしたから私を含めて5人くらいしか
観客はいませんでした。

ストーリーは
2011年3月11日、日本観測史上最大の地震により発生した津波が岩手県釜石市を襲った。
一夜明けても混乱状態が続く中、廃校となった旧釜石第二中学校の体育館が遺体安置所
として使われることになるが、次から次へと運ばれてくる遺体に警察関係者や市の職員も
戸惑いを隠せない。
釜石市職員の松田信次(沢村一樹)は次第に言葉を失い、葬儀社に勤める土門健一
(緒形直人)も経験したことがない犠牲者の数にただ立ち尽くすしかなかった。
一方、医師の下泉道夫(佐藤浩市)や歯科医師の正木明(柳葉敏郎)、歯科助手の大下孝江
(酒井若菜)らは、いつ終わるのかもわからない検案や検歯の作業に取り組んでいく。
そんな中、地区の民生委員として働く相葉常夫(西田敏行)が遺体安置所を訪れる。

辛い映画なので見たくない人もたくさんいるかと思いますがショッキングな
シーンは省いてあって、石巻の中学校の体育館に運び込まれてくるご遺体が
市の職員、医者、歯科医、消防団員、そして西田敏行演じる民生委員さんらの
手によってどのようにしてご家族のもとにお返ししていったかが、再現ドラマ
のように描かれています。

津波で泥にまみれたままのご遺体は毛布にくるまれ、運び込んだ体育館の足元
も泥だらけ。そこを元葬儀社にいたことのある民生委員の相葉さんの呼びかけで
床をきれいにし、ご夫婦と思われるご遺体は隣どうしにしてあげ、遺体の番号でなく
名前を覚えてやさしく声をかけてあげる。

死体ではなく遺体なのですと・・・
人はいつどんな亡くなり方をするかわかりませんが、あの日まで一生懸命
生きてきた方々の冷たくなってしまったけれど「遺された体」なのですね。

遺された体に「怖かったでしょう、苦しかったでしょう。もう少し待っていてね。
ご家族が会いに来てくれますよ。」

間に合わせの祭壇を作り、お坊さんを呼んでお経をあげてもらいます。
棺も少しずつ届いてきました。
お母さんの黒くなってしまった顔に持っていたファンデーションと口紅をつけて
あげて、きれいになったその顔にうれしそうに微笑む娘さんの姿が涙を誘います。

でもご遺体の泥を落としてあげたくても水がないのでそのまま棺に納めなくては
ならないのです。
火葬場も被災していてやっと他県から受け入れてもらうことができました。

「遺体」・・・一生懸命生きてこられた方の「遺された体」へのやさしさは宗教や
状況の枠を超えて失ってはいけないものだと思いました。

そして中国の四川大地震の時、日本から行った救助隊員の方たちががれきの中から
見つけたご遺体に全員で頭をたれて黙とうをしていた姿が中国のメディアで報じられ
感謝されたことを思い出しました。
by zac90109 | 2013-04-10 12:04 | 映画