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「舟を編む」期待以上に素晴らしい!

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★★★★★
2012年の本屋大賞を受賞した三浦しをんさんの作品を映画化したもの
ですがもちろん?本には縁のない私は読んだことがありません。
だけど映画館に足を運ぶたびにこの予告編を何度見させられたことか・・・
ですからちょっとしつこくて辟易した気分にもさせられていたのですが、
辞書を作るという地味な作業がどういうふうに映画になるんだろう?
と思って見てきました。

そしたらどうでしょう!
辞書作りというじみ~な作業がこんなにも私を感動させるなんて!

ストーリーは
玄武書房という出版社の営業部に勤める馬締光也(松田龍平)は、
真面目すぎて職場で少々浮いている。
しかし言葉に対する卓越したセンスを持ち合わせていることが評価され、
新しい辞書『大渡海(だいとかい)』の編纂を進める辞書編集部に異動となる。
今を生きる辞書を目指している『大渡海(だいとかい)』は見出し語が24万語
という大規模なもの。曲者ぞろいの辞書編集部の中で、馬締は作業にのめり込む。

今を生きる辞書の編さん・・・新しい言葉、若者が使っている例えば「ダサイ」
「マジ」なども入っている24万語の言葉!ってすごいです!
私は一生のうちで、そのうちいくつの言葉を使うことが出来るのでしょうか?

「大渡海」(だいとかい)という辞書は「言葉の大海原を渡る舟」という
意味でした。

「用例採集」っていうのですか、辞書を編さんする為にはみんなカードを
持ち歩いて新しい言葉を見つけては、そのカードに言葉の意味と用例を
書き込んでいく・・・その用例が可笑しくて、楽しくて。
「ダサイ」の用例、「恋」の用例、ネタバレになってしまうので是非是非
映画館で見るのを楽しみにしてください。

松田龍平演じる「真締君」(まじめくん)は大学で言語学を学んできたのに
コミュニケーション力はまったくなしで、かたやオダギリジョー演じる
「西岡君」はその正反対の性格。
ふたりのやりとりが面白くて時々プッと吹き出してしまいます。
正反対のふたりがお互いの足りないところを補い合って、理解しあうようになって
あの場面で私は涙がポロポロ・・・

真締君が恋する宮崎あおい演じる「かぐやさん」とのやりとりも微笑ましくって
恋する気持ちを「手紙じゃなくて言葉で聞きたい」
それも「今でしょ!」
なんとも可笑しい・・・

辞書編さんには15年かかりました。
その間1円の利益も生み出していないのです。
出来上がりまで校正を5回もするんですって!
ひとつでも途中で抜けている言葉は見つかったら1から見直しが始まる!

辞書の紙は薄くて、だけど裏が写ってはいけない。そして指の腹でめくって
1枚づつめくる事が出来ないとダメ・・・「ぬめり」?って言ってたかな。

そうなんだ!?
すごいんだね!辞書って!
思わず帰ってから辞書を手にとってうっとりしてしまいました(笑)

文字通り真締君を演じた松田龍平くんがすばらしい!
私の中では早くも今年度の主演男優賞候補になりました。
宮崎あおいさんもさすがだし、オダギリジョーさん、加藤剛さん、渡辺美佐子さん
伊佐山ひろ子さん、配役もいいです!

24万語の言葉のうち本当に一生でいくつの言葉を使うことが出来るのでしょう?
もともと本とは縁遠い私ですからこうしてブログに書いていてもボギャブラリー
が貧弱で、もっとうまく伝えることが出来ないかな。って思います。

そして辞書が「言葉の海を渡る舟」ということは「舟のこぎ手」は私たち
ということですよね。
言葉は大切な人と人をつなぐコミュニケーションツールですが、時として
言葉は人を傷つけもし、誤解も与えます。
傷つきやすい人も増えたような気がします。
舟を上手に漕ぐのは難しいですね・・・

そして言葉は生き物ですから時代とともに使われ方も変化していくのは
当然だと思っています。
「ヤバイ」「全然」という言葉も否定から肯定的な意味で使われていますが
いまだに「お嫁さん」「ご主人」という言葉に代わる新語が生まれてこないような
気がしてどうしてなんでしょうねぇ~
by zac90109 | 2013-04-15 23:11 | 映画