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「リンカーン」ただの伝記物ではなかったです。

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★★★★★
アカデミー賞の作品賞は残念ながら「アルゴ」に持っていかれてしまいましたが
主演のダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞に輝いた「リンカーン」見てきました。

実は先週、初日に見に行ったのですが、リンカーンの伝記くらいにしか軽く
考えていなかったので、法廷劇ならぬ議会劇?室内劇?のようで
字幕を必死に追ううちに睡眠導入剤の役目を果たしてしまったかのようで
共和党、民主党、ロビイスト?誰がどういうスタンスだったのかぼんやりとした
まま終わってしまったのです。

今日はリベンジで南北戦争についてウィキペディアで調べて見てきました。
映画の冒頭、監督のスピルバーグもちょっと時代背景についてふれていました。

「南北戦争(1861~1865年)は奴隷制存続を主張するアメリカ南部の11州が
合衆国を脱退しアメリカ連合国を結成し、合衆国にとどまった北部23州との
間で戦争になりました。
連合国でも大統領が選出されていたそうです。
南部は農業中心で黒人奴隷による労働力に支えられていて、北部は逆に工業化
が進んでいたのがひとつの原因のようです。
南北戦争による死者の数は62万人でアメリカのあらゆる戦争での戦死者の約半分
にあたるそうです。」

ストーリーは
貧しい家に生まれ、学校にもろくに通えない中、苦学を重ねてアメリカ合衆国
第16代大統領となったエイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)。
当時アメリカ南部ではまだ奴隷制が認められていたが、リンカーンはこれに反対していた。
リンカーンの大統領当選を受けて、奴隷制存続を訴える南部の複数の州が合衆国から離脱し
アメリカは分裂、さらに南北戦争へと発展する。
自らの理想のために戦火が広がり若い命が散っていくことに苦悩するリンカーン。
しかしついに彼は、合衆国大統領として、そして一人の父親として、ある決断をくだす……。

2時間半に及ぶ映画の内容はリンカーンの生い立ちではなく、奴隷制廃止のための
憲法修正第13条を通過させることに焦点をあてたものでした。

リンカーンは悩みます・・・4年にも及ぶ戦争を終わらせたい・・・しかし奴隷制の
廃止のためには戦争を長引かせなければならなかったのです。
4年にも及ぶ戦争を終わらせたい為に奴隷制の廃止に手を貸す人もいるのです。

その為には奴隷制存続派の民主党からの票が20票必要です。
そこでロビイストの活躍となるのです。
ロビイストたちは次のポストと引き換えに賛成票を得ようと工作します。
結末は分かっていてもサスペンスなストーリー展開です。

リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイスの演技はアカデミー賞主演男優賞に
輝いただけあってさすがだと思いますが、その妻を演じたサリー・フィールド
の夫の尻を叩く良妻なんだか悪妻なんだか分からない存在感には圧倒されます。

そしてその妻のメイドとして働く黒人の女性の言葉も記憶に残ります。
奴隷制が廃止された後の自分たちの自由はどのようなものになるのか・・・
息子は北軍の兵士として亡くなったが奴隷制廃止のために戦ったことを
誇りに思う・・・私にはそう理解出来たのですが。

それから奴隷制廃止の急先鋒である共和党のスティーヴンスを演じた
トミー・リー・ジョーンズ。
13条を通過させるために妥協をし、修正案成立後には「修正案の原案」を持って
真っ先に見せたのが彼の家の家政婦、いや黒人の奥さんでした。
そして彼の奥さんによって初めて見ている私たちも「憲法修正第13条」
の全文を知ることになるのです。

スピルバーグはうまいなぁ~

そして奴隷制廃止から約1世紀後、アメリカでは黒人初のオバマ大統領が
誕生したのです。
見終わった後、そのことがとても感慨深いことに思えます。
by zac90109 | 2013-04-22 21:17 | 映画