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「柘榴坂の仇討」

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★★★★
ストーリーは
安政七年三月三日、江戸城桜田門外で大老の井伊直弼(中村吉右衛門)が襲撃され殺害される。
主君を守り切れなかったことを悔やんでも悔やみきれない彦根藩士・志村金吾(中井貴一)
のもとに、仇を討てとの藩命が下る。
明治の世になり時代が大きく変わっても武士としての矜持を持ち敵を探し続ける金吾。
一方水戸浪士・佐橋十兵衛(阿部寛)は井伊直弼殺害後、俥引きに身をやつし孤独の中に
生きていた。そして明治六年二月七日、仇討禁止令が布告される……。

時代劇を見るたびに改めて日本人の美意識に気づかされ、背筋がのびる
思いがします。

主君を失い、切腹することも許されずにただ仇討ちを続ける男とそれを一途に
支える妻、そしてその最後の一人の男との運命的な出会いが描かれているのですが
他の時代劇とは少し違うのはその時代背景です。

江戸から明治へと移り変わる激動の時代を背景に着物から洋服へ、刀も捨て
仇討ちも禁止と大きく世の中が移り変わっていく中、ただただ彼だけが
時間が止まったように侍の姿のまま仇討ちを続けていくのです。
「姿かたちが変わっても変わってはいけないものがある・・・」
この言葉がこの作品のひとつのメッセージでしょう。
日本人である私達の胸に深く突き刺さります。

かたや仇とされる男にも志があってしたこと。しかし仇討ちされるのを待っているか
のごとく世を捨てひっそりと生きてきたのです。

ラスト、男2人の柘榴坂での仇討ちのシーンがどうなるのかと息づまる時間が続きます。
ここで結末は書かないでおきます。
降り積もる雪の中に健気に咲くつばきの花が物語っています。

仇討ちを続ける男の話ですがそれを支える妻の心根が美しすぎて涙がにじみます。
時代劇には泣かされることが多いのですが、その涙は悲しくて流すというより
凛とした美しさに心がふるえて流す涙が多いです。

「蜩ノ記」も見ます!
by zac90109 | 2014-09-29 22:18 | 映画