塚本晋也監督の「野火」

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★★★
太平洋戦争末期、日本の敗戦も色濃くなった頃のフィリピン、レイテ島での
日本軍の敗残兵の彷徨いを描いた作品ですが、この作品の上映館は少ないようで
しかし私の行きつけのシネマテークたかさきでは観客の静かなる熱気に包まれて
いたように思われます。
安保法案に揺れる今の時代だからでしょう。

ストーリーは
第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。
日本軍の敗戦が色濃くなった中、田村一等兵(塚本晋也)は結核を患い、部隊を追い出されて
野戦病院行きを余儀なくされる。
だが負傷兵だらけで食料も困窮、少ない食料しか持ち合わせていない田村は早々に追い出され、
再び戻った部隊からも入隊を拒否される。
行き場を失い、果てしない原野を一人彷徨う田村。
空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら彼が目撃したものは、
想像を絶する地獄絵図であった……。

戦争末期、レイテ島では武器や食料の補充も無く、多くの兵隊たちは敵と戦って
命を落とすというよりも病死や餓死で亡くなっていったと聞きます。
原作者、大岡昇平自身もレイテ島で捕虜となり、この「野火」を書かれたそうです。
1959年に市川昆監督が船越英二主演で一度映画化がされています。
私もユーキャン発行の「太平洋戦争」全10巻で何故この戦争が始まったのか
改めて知ることになりました。

塚本晋也監督の「野火」
ここまで描くか!!
戦争とはこういうものなんだと・・・
もはや敵と戦うのではなく、飢えとの戦い。己との戦いとはなんともすさまじいが
今の私には想像も出来ない。
そこに信仰心があったとしても、飢えを満たすために人は「生きたい!」という
本能を押さえられないのではないか。
私の中では反戦映画というよりも極限状態に置かれた時の人間の生きたいという
「生への執着」を感じました。
それが後に自分を苦しめることになるということが動物と違って「良心や理性を持つ人間」
という生き物の宿命なのでしょう。

こういう作品に映画としての出来、けちをつけるのはちょっとはばかられるのですが
主演を演じた塚本晋也が結核という病気設定にも関わらず、セキをしていたのは
最初だけ、そして最後まで痩せこけてもいなくて作品自体の緊張感を失ってしまった。
血や肉が飛び散る戦闘シーンも私には「お化け屋敷」的な驚かせる演出ばかり
目だってがっかりです。
役者って大事です!
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by zac90109 | 2015-07-31 13:01 | 映画

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★★★★
2009年版「このミステリーがすごい!」海外編第一位受賞作品の映画化
と聞けばミステリー好きな私としては放っておけない作品です。

ストーリーは
1953年、スターリン独裁政権下にあったソビエト連邦で、9歳から14歳の子供たちの
変死体が次々に見つかった。
死体は一様に全裸で胃が摘出されており、さらに山間部であるのに溺死していると
不審な点が多かったものの、理想国家を掲げる体制のもと犯罪は存在しないとされていたため、
事故として扱われた。
親友の息子が死に、秘密警察MGBの捜査官レオ(トム・ハーディ)は真相を追いはじめるが、
国家の妨害に遭い妻(ノオミ・ラパス)には不当にスパイの嫌疑がかけられる……。

正直、見終わって直後は「ん~~・・・」という印象でした。
理由は「ソロモンの偽証 後編」の時と同じく「犯人は誰!?」
というミステリー要素が薄かった為だと思われる。

1950年代のスターリン政権下で起きた連続殺人事件の犯人探しというよりも
「殺人は資本主義の病」と言い切り、犯罪さえも無かった。それは事故だった。
と真実を歪めてしまう、さらには家族さえもスパイ容疑にかけてしまう。
そんなスターリン政権下のソ連には身震いしてしまうほど恐ろしい!

そしてそんな中、孤児として育ちMGB(秘密警察)となったレオ(トム・ハーディ)
とその妻ライーサ(ノオミ・ラパス)の夫婦の関係性にも変化が起きてくる。
そんな夫婦の関係性の変化が見所のひとつだろうか・・・
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by zac90109 | 2015-07-17 13:57 | 映画

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★★★
主演のジュリアン・ムーアがアカデミー賞主演女優賞を受賞した作品
なので見てきました。
平日午後の回でしたが結構満席状態でした。
若年性アルツハイマーと診断された女性がどう生きるのか?
かつて渡辺謙が主演を演じた「明日の記憶」もそうでしたが、アルツハイマー病は
誰もが人ごととは思わず観客を引き付ける題材のようです。

ストーリーは
ニューヨークのコロンビア大学で教鞭をふるう50歳の言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、
キャリアを積み学生たちから慕われる一方、家族にも恵まれ、まさに円熟期を迎えていた。
しかし物忘れが顕著に現れるようになったため受診したところ、若年性アルツハイマー病だと診断される。日々記憶が失われる中、アリスは懸命に自分の運命と戦っていく。

言語学者という人一倍頭を使う職業であるはずのアリスがジョギング中、
自分の居場所が分からなくなるという恐怖!
そして自分の家の中のトイレが分からなくなるという恐怖!
何もかもが分からなくなるのではなく、分からなくなるという恐怖を感じとった
ことの恐怖とは本当に怖いと思う。

「癌だったら良かったのに・・・アルツハイマーは恥ずかしい・・・」とアリスは言う。
誤解を恐れずに私は思う・・・
癌、もしくは他の病気だったら自分の頭でどういう治療を受けようとか
病気の進行に応じて自分の頭で考えることも出来るかもしれない。
しかしアルツハイマーだと自分のことなのに他人に決めてもらうことになる
のかもしれない。
そしてそれ以上に生まれてからずっと積み上げてきた思い出や、紡いできた人間関係。
それらを失ってしまうことの恐怖はいかばかりか・・・

ジュリアン・ムーアの演技は主演女優賞に値するものだったと思うが、アリスを
取り巻く家族たちもみんな優しくてちょっと綺麗に描かれすぎていて、感動とか
心に響いてくるものは無かった。
「博士と彼女のセオリー」で難病ALSを患ったスティーヴン・ホーキング博士を
演じてアカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメインもそうだったが
難病患者を演じることって俳優にはちょっとお得なことのように思える。
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by zac90109 | 2015-07-05 15:34 | 映画

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★★★★
昨日の「あん」に続いて是枝裕和監督の「海街diary」見てきました。
こちらの作品も四季の移ろいと決してお金がかかっているとは思えないが
ある意味とっても贅沢とも思える食べ物、そして人と人とが奏でるハーモニーが秀逸だ。
両作品ともとっても居心地のよい作品である。

ストーリーは
長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)は、鎌倉で三人一緒に住んでいた。
そんな彼女らのもとに、ある日、15年前に家を出て疎遠になっていた父の訃報が届く。
三人は父の葬儀が行われる山形に向かい、母親違いの妹・すず(広瀬すず)と初めて対面する。
身寄りをなくしたすずはどうしようもない大人たちに囲まれながらも、一人毅然とした態度を見せていた。
そんなすずに幸は、鎌倉に来ないかと言う。
こうして、すずを入れた四姉妹の暮らしが始まった……。

「海街diary」・・・姉妹っていいなぁ~それも仲のよい4姉妹!
いつまでもこの4姉妹を見ていたい気分だ。
Diary・・・そう、四季の移ろいの中で母親の違う一番下の妹すずと3人の姉たちとが
織り成す何てことのない日常の積み重ねを描いているのですが、これがまた是枝監督
の手にかかると凄いんだなぁ~
それぞれのセリフもアドリブかと思うほど自然ですが、いえいえ絶対丁寧にきっちり
練られた脚本どおりだと思います。

すごいと思うのは、亡くなった筈の居ない筈の父親のこと。写真すらも画面に
登場していないのに観客である私達はその父親像を想像してしまうことが出来る
からだ。
そして、生しらす丼や、しらすトースト、ちくわカレー、梅酒・・・
是枝監督の「歩いても歩いても」の作品の中でも昭和っぽい台所で作る料理の
数々がとっても美味しそうだったことが印象に残っている。
作品の中で登場する何気ない料理。それは是枝監督にとって重要なアイテム
なんだと思う。
姉妹が送る「日常」にリアリティを与える為に・・・

ただ欲を言えば姉妹には生々しさが無い。
4人もいればもっとドロドロしてくるものだがw
そのドロドロは結婚して伴侶ができて姉妹間の格差が出てきてからだよねw

だからね、奥さんがいる人を好きになっても仕方ないよね・・・幸姉さん。
好きな人と一緒になってしまえばいいのに・・・と思ったのは私だけか?
お父さんだってそうだった。
仕方なかったんだよね。
姉妹を置いて出て行ってしまったお母さんだって仕方なかったんだと思う。

あとひとつちよっと気になること。
お母さんに持たせた梅酒のビン。
割れ物だから袋の中でぶつかり合うと危ないから何かに包んでおいたほうがよかったね。

加瀬亮、堤真一、大竹しのぶ、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー
豪華な俳優ばかり!
フジテレビ制作だからか・・・

いい作品でしたが私は「あん」のほうが好きかな。
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by zac90109 | 2015-07-01 08:16 | 映画