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★★★★★
「殺人の追憶」のスタッフが仕掛けた極上のサスペンス・・・
ときたらもう見ないわけにはいかない!
原作は韓国の麗水で2001年に実際に起こった事件を題材にしたもので
韓国に密入国した漢族49人と朝鮮族11人、計60人のうち25人が船内で
窒息死し船員らが死体を海に捨てた事件だそうです。
朝鮮族については「哀しき獣」でもふれましたが日本統治時代に土地を
奪われたなどして中国に渡った人たちのことを指し、今また韓国に戻り
3Kなどきつい仕事についているそうです。

ストーリーは
漁船チョンジン号のカン船長(キム・ユンソク)は、不漁に苦しんでいた。
故障した船の修理代も出せず、金策に悩んだ末、中国からの密輸業を請け負っているヨ社長から、
朝鮮族の密航を引き受ける。6人の船員たちはこの仕事を躊躇するが、カン船長が説得。
そして決行の夜。約束の座標に辿り着いたチョンジン号の前に、密航者たちを乗せた中国船が現れる。
荒れ狂う雷雨の中、中国船からチョンジン号へ飛び移ってくる密航者たち。
その中の1人、ホンメ(ハン・イェリ)は海に転落するが、新米乗組員のドンシク(パク・ユチョン)が
無事に救出。やがて海が穏やかになると、監視船が接近してくる。
現れたのは、カン船長と旧知の仲のキム係長だった。
2人が甲板で酒を飲んでいると、密航者たちを匿っている魚艙から異音が響く。
怪しむキム係長に、冷凍庫の故障だとごまかしてカン船長はその場をやり過ごすが、
監視船が帰った後に魚艙を開けると、密航者たちが1人残らず死んでいた。

人間追い詰められた時にみせる本性の怖さを韓国映画らしい容赦ない描き方
で見せ「あ~日本映画には無理・・・」と思った。
いつもながらの韓国映画の映画で見せる熱量の高さには脱帽です。
こういう日本では絶対一般受けしないであろう映画が韓国では大ヒットする
というところにも韓国と日本、似て非なる血を感じる。

船と船員たちのことを思いやるあまり追い詰められていく船長を演じる
「チェイサー」のキム・ユンソク!
もうソン・ガンホかキム・ユンソクか!
もう途中から目がいってしまっている・・・

そしてもう一つ、ドンシクという若い船員と密航者の女性との純愛が平行して
描かれ、彼女を守ろうとするドンシク。
船という密室の中での熱量はさらに高まっていく!
しかしドンシクを演じるのは元東方神起、今JYJのユチョン!
日本じゃアイドルがこういう映画に出るなんて考えられない・・・
ユチョンはこの作品で韓国の新人賞を総なめしたそうです。

そして衝撃のラストシーンです。
女は強くてしたたかです・・・
この最後の最後のシーン、余韻を残すのですが「殺人の追憶」の最初のシーン
忘れもしないソン・ガンホが下水溝を覗き込むシーンと同様印象に残ります。

この先ハ・ジョンウの「群盗」ファン・ジョンミンの「国際市場で逢いましょう」
ペ・ドゥナの「私の少女」
楽しみです!
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# by zac90109 | 2015-04-29 14:26 | 映画

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★★★
どうか期待を裏切らないで欲しいと願っていた後編。
レビューの評判の高かった前編と比べて賛否両論の後編でしたが
私もがっかり・・・
なんとまあ退屈な146分だったことか。

ストーリーは
男子中学生・柏木卓也(望月歩)の転落死以降、殺人を告発する目撃者からの手紙、
過熱報道、連鎖していく事件により学校は混乱していたが、大人たちは保身に走る一方だった。
生徒の一人・藤野涼子(藤野涼子)は自分たちで柏木卓也の死の真相を突き止めようと動きはじめ、
学校内裁判が開廷される。
人間の底知れぬエゴや欲望、悪意が渦巻く中、少女が学校内裁判の果てに見たものとは……。

学校内裁判といえど法廷劇は一般的にはドキドキ、緊張感あふれる秀作
が多いというのにまるで劇中劇のようで学芸会を見ているようだった。
原作は未読ですが結末に意外性も無く、原作が悪いのかそれとも脚本が悪いのか
原作と映画は別物なのですから、原作を変えてでも成島監督の「ソロモンの偽証」
を見たかった。
亡くなった柏木君に振り回されただけのような気がします。
作品からは大きなメッセージ性のようなものは受け取ることができませんでした。

もしかしたら「人は嘘をつく」「見て見ぬ振りをする」「偽善者」そういう生き物
だとしても心のどこかでチクチクと自分を苛んでいる。
だからこの作品の中で一人の少年の死という石を投げ込んで人々の心の波紋を
広げていくように真実に近づいていくことを目指したのかもしれないが、
目新しいテーマではなかったような気がするし、退屈したのは事実だから
仕方の無いことである。

主演の藤野涼子さんと芸達者な永作博美さんのリアリティのある演技が
素晴らしかったことしか残りませんでした。
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# by zac90109 | 2015-04-13 22:15 | 映画

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★★★★
中国を代表する監督、チャン・イーモウ監督作品。
主演もまた中国を代表する女優、コン・リーとチェン・ダオミン。
時代背景は文化大革命の時。

あらためて文化大革命について調べてみた。
1966年~1976年の10年間。名目は毛沢東の「資本主義文化を批判し
社会主義文化の創生」というものだったようだが実際は毛沢東の権力闘争
による復権を目指すもので、多くの文化財の破壊や知識人などへの迫害があった
ようです。
毛沢東の功罪にはさまざまな評価があるようですが1949年10月1日
中華人民共和国の建国という意味において功績は大きいようです。

「妻への家路」
ストーリーは
1977年、文化大革命が終結。20年ぶりに解放されたルー・イエンシー(チェン・ダオミン)は
妻のフォン・ワンイー(コン・リー)と再会するが、待つ時間が長すぎたワンイーは心労のあまり、
夫の記憶だけを失っていた。
イエンシーは他人として向かいの家に住み、娘のタンタン(チャン・ホエウェン)の助けを借りながら、
妻に思い出してもらおうと奮闘する。
収容所で書き溜めた何百通ものワンイーへの手紙をくる日も読み聞かせ、
帰らぬ夫を駅に迎えに行く彼女に寄り添う。夫の隣で、ひたすら夫の帰りを待ち続けるワンイー。
果たして、彼女の記憶が戻る日は来るのだろうか……?

110分、もう始まってまもなく涙・・・
夫、イエンシーが脱走して妻に会いに行くシーンがあるのですが、待ち合わせ場所
の駅の陸橋。雑踏の中で「イエンシー!」「ワンイー!」・・・
こんなに早く泣かせるなんて・・・
この陸橋はその後何度も何度も登場してきて行き交う人々の服装などの変化から
文革からその終結、そして時代の流れを感じさせてくれます。

夫の顔だけを思い出せない妻。その妻に何とかして思い出してもらおうと獄中
で書いた手紙を読んであげたりする夫。
ベタなメロドラマようだがそうならないのは長く待ちすぎた妻。待たせすぎた夫。
そして自分のしたことで苦悩する娘。それぞれが家族を想う気持ちが痛いほど
伝わってくるからか。

文革が大きな背景にありながら説明的すぎず、過剰なセリフも無く、コン・リー
がそこにいるだけで、鏡に映っている姿、椅子に座っている姿、ただただ
そのたたずまいだけで夫の帰りを待ちわびる妻を見事に演じている。
110分。何度涙が流れ落ちたことか・・・

チャン・イーモウってやっぱり凄い!

そして蛇足だが中国語をずっと勉強している私にも分かるセリフが多くてうれしかった。
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# by zac90109 | 2015-03-27 15:25 | 映画

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★★★★
車椅子の天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士の半生と彼を支えた妻
ジェーンの話です。
スティーヴン・ホーキング博士はご存知のとおりALSという難病にかかり
体の自由が利かないのですが、彼を演じたエディ・レッドメインは見事に演じて
アカデミー主演男優賞を受賞しました。
その意味では納得の作品でしたが、内容的にはいまいち何が言いたいのか・・・
と思うような感想です。

ストーリーは
天才物理学者として将来を嘱望されていたスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)が
ケンブリッジ大学の大学院に在籍中、詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、
二人は恋に落ちる。
だが直後にスティーヴンは難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症、余命2年の宣告を受ける。
そんな彼と共に生きると覚悟を決めたジェーンは、一緒に病気と闘う道を選択し、やがて二人は結婚、
そして出産……。
自分たちに与えられた時間がどれほど貴重なものかを知る二人は、歳月を重ねるごとに増す試練に
強固な愛の力で立ち向かっていくが、時には壁に突き当たり、限界を感じ、自身の無力さに
打ちひしがれるのだった。
しかし、刻々と悪化するALSとの闘病生活の中、ホーキング博士は持ち前のユーモアで乗り越え、
“車椅子の科学者”として最先端の研究を精力的に行い、講演活動や執筆活動へ意欲的に
取り組んでいく……。

ホーキング博士の偉大な功績、宇宙・・・についても難しすぎて作品からは
よく分からなかった。
彼の半生で驚いたことは不謹慎ながら3人の子供に恵まれたこと。
彼をずっと支え続けてきた妻と博士との夫婦愛が作品のすべてかと思いきや
後に別々のパートナーが現れることになる。
しかしそれは驚きでも裏切りでもなく私にはごく自然な流れであったと思われました。
妻にも博士にもそれぞれに共感してくれる、そして理解してくれる相手が必要で
あったということだと思います。

エディ・レッドメイン・・・失礼ながらこういう役ってお得なのかもしれない。
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# by zac90109 | 2015-03-21 14:50 | 映画

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★★★★★
アラン・チューリングというイギリスの天才数学者のこと、初めて知りました。
第二次大戦中、ドイツが誇るエニグマと呼ばれる暗号機器を解読し戦争終結を
早めた功績のあったアラン・チューリングという人物がいたこと。
そして戦後50年経ってようやく戦争中の国家の機密事項が公にされたという
ことから41歳で不幸な亡くなりかたをした彼の名誉も回復されたそうです。
実話に基づいた作品でアカデミー賞作品賞にもノミネートされた作品です。

ストーリーは
1939年、英国がヒトラー率いるドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まる。
ケンブリッジ大学特別研究員で、27歳の天才数学者アラン・チューリング
(ベネディクト・カンバーバッチ)は、英国政府ために独軍の誇る難攻不落の暗号
エニグマ解読に挑むことになる。
英国海軍のデニストン中佐(チャールズ・ダンス)は6人の精鋭を解読チームとして
ブレッチリー・パークに集めるが、チューリングは一人で仕事をしたいと訴える。
MI6のスチュアート・ミンギス(マーク・ストロング)はチーム一丸となることを求めるが、
チューリングにとって暗号解読は自分の能力を試すゲームに過ぎなかった。
リーダーのヒュー・アレグザンダー(マシュー・グード)のもと奇襲作戦やUボート情報の
暗号文を分析するチームを尻目に、チューリングは一人でマシンを作り始める。
製作費を却下されると、チャーチル首相に手紙で直訴し、首相から責任者に任命される。
そして、二人の同僚を「無能だ」とクビにしてしまう。
子供の頃から孤立し、唯一の親友とも悲しい別れをしたチューリングには、他人との交流など不要だった。

天才と呼ばれる人は得てして人と交わることが苦手なように彼もまた
ドイツ軍の暗号解読をチームで行うには最初からスムーズには行かなかった。
暗号解読のために彼は独自のマシンを作り上げ、これが後のコンピューターの
元祖のようなものだったのですが、彼はマシンに「クリストファー」と名付け
そして仲間の協力も得ながら暗号解読に情熱を注ぎました。

戦争の早期終結の偉業を成し遂げたアラン・チューリングの功績を映画は
追いながら、彼の幼い頃の友人との別れ、そして彼のけっして知られたくない秘密。
苦悩と孤独、哀しみのほうが偉業より作品から迫ってきて泣けました。

アラン・チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチのその瞳の奥の
哀しみが今でもボディブローのように効いてきます。
レオナルド・ディカプリオがアランを演じていたかもという話を聞き、確かに
ディカプリオも引き受けたい役だっただろうなぁんて思いました。
ハッピーエンドではなかったですがいい映画でした。
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# by zac90109 | 2015-03-15 21:37 | 映画