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ミヒャエル・ハネケ監督作品「愛、アムール」

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★★★★
昨日が初日の「愛、アムール」早速見てきました。

このフランス語の作品はアカデミー賞外国語映画賞を受賞しました。
昨年、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドール賞を受賞した時から
早く見たいと思っていた作品でした。
何故ならオーストリアのミヒャエル・ハネケ監督の作品のファンだからです。

どの作品がきっかけだったか忘れましたが、一つ見ると他の作品も見てみたい
という衝動にかられ「ファニーゲーム」「隠された記憶」「ベニーズビデオ」
「ピアニスト」「白いリボン」などなどけっこう見ました。

共通するのは「後味の悪さ」ハッピーな展開などとはまったく無縁!
そして他の人の表現を借りると
「監督の意地の悪さを感じる」
「見たくないものを見させる」
まるで盗撮映像を見せられているような気分なのです。
私も犯罪に加担しているような後ろめたさも感じてしまいます。

だからハネケの作品のファンだというのはちょっとはばかられるのです。
わざわざこんな後味の悪い映画を好んで見ることはないと思うのですが
なんでしょうねぇ~罪深い監督さんです・・・
タフな人じゃないと受け付けないかもしれません。

ハネケ監督は大学で哲学、心理学を学んだそうですから人間の見たくない
部分をあえて見せつけて、お前も同罪だと言いたげです。
そして結構不親切な内容が多くて、「あれ?どういうこと?」と思うことが多く
後は見ている人に任せるというような感じなのです。
私はその不親切さが大好きなのですが・・・
だって私もその作品作りに参加しているという気持ちになれますから。

「愛、アムール」はあのなつかしいフランス映画「男と女」の
ジャン・ルイ・トランティニャン82歳とエマニュエル・リヴァ86歳の
演じる夫婦の愛の話。

ストーリーは
パリの高級アパルトマンで悠々自適の生活を送る音楽家の老夫婦、
ジョルジュとアンヌ。しかしその生活はアンヌの急な発病で暗転する。
入院したアンヌを、本人の希望により自宅に連れ帰ったジョルジュは、
家で介護する事にするが、アンヌの病状は悪化する一方。
看護師に加え雇ったヘルパーに心ない仕打ちを受けた二人は次第に孤立していく。
娘のエヴァが心配してアパルトマンを訪ねてみると、
そこには憔悴したジョルジュがいた…。

いつものハネケらしさはちょっと影を潜め、わりとフツーなのにはビックリ!
妻か夫か、どちらが倒れても身につまされる話です。
介護される側エマニュエル・リヴァの迫真の演技には拍手です!
ずっと連れ添った夫婦のようです。

衝撃的な最後のあまりのリアリティさにはドキッとしましたが
長年連れ添った夫婦なら分かる、人事ではないという共感を見ている人は
感じていたように思います。

ではあの後夫は?
妻との思い出の場所を歩いてから・・・それからそれから・・・

私はいつものハネケ作品のほうが好きだなぁ~
それもDVDをひとりこっそりと悪いことをするように見るのがたまらない。

ハネケ自身ももう70歳ですから自身を投影したようなこういう作品を
作りたくなったのでしょうか。
by zac90109 | 2013-03-10 09:00 | 映画