人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「そして、父になる」本年度BEST1!

「そして、父になる」本年度BEST1!_c0191138_23151759.jpg

★★★★★
今、息子夫婦のところに手伝いに行く日々が続いていて
ちょっと映画どころじゃないのですが、カンヌ国際映画祭で
審査員賞を受賞したこの作品はどうしても見たくて
なんとか時間を見つけて見て来ました。

素晴らしい作品でした!
是枝監督サイコー!!

いつもながら説明的過ぎず、深い余韻が残って観客もすぐに
席を立つ人がいなかった。
そういうところでも作品の良し悪しが分かります。
是枝監督の「誰も知らない」「歩いても、歩いても」と同様に
家族とか人間を見つめる目が鋭くて、怖いようで、そして優しい。

ストーリーは
学歴、仕事、家庭といった自分の望むものを自分の手で掴み取ってきた
エリート会社員・良多(福山雅治)。
自分は成功者だと思っていた彼のもとに、病院から連絡が入る。
それは、良多とみどり(尾野真千子)との間の子が取り違えられていた
というものだった。
6年間愛情を注いできた息子が他人の子だったと知り、
愕然とする良多とみどり。
取り違えられた先の雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)
ら一家と会うようになる。
血のつながりか、愛情をかけ一緒に過ごしてきた時間か。
良多らの心は揺らぐ……。

福山雅治演じる良多は今まで負けたことない人生を送ってきた
エリート。
だからちょっと嫌味なキャラの人間でしたが、だけどそんな人
たくさんいますよね~特別な人じゃない。
福山雅治はピッタリの役でした。
もしかしたら是枝監督はそこを見込んで彼を配役にしたのかも
しれないですね。

その良多が「そして、父になる」というほんとにタイトルどおりの
作品でした。
いつも思うことですが、母親は子宮でものを考えるから、男に比べて
どちらかと言うと本能で母親になることが出来やすい。
それに比べると男はもうちょっと頑張らないと父親にはなれない
のかもしれない。

あれこれここで書いてしまうとつまらないものになってしまうので
是非是非映画館で見て、二組の家族がどうなったか、自分ならどうしたか?
親子ってなんなんだろうかって考えてみることお勧めです。

それにしても「血のつながり」っていいこともあるけれどやっかいなもの
ですね。
「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」「悪いやつら」などでも思うことだし
もっと広く言えば「民族」というものにまでたどり着いてしまう。

この作品では良多という父親に焦点を合わせていますが、尾野真千子演じる
みどりという母親の心情もよく描かれていて、みどりが実のわが子と
接していくうちに「りゅうせいも可愛くなってきた。けいたに申し訳ない」
と泣く母親の姿に私も号泣です・・・

尾野真千子。そしてもう一組の父親役のリリー・フランキーも上手いですね。
尾野真千子さんも言っていましたが、リリー・フランキーさんは顔の表情は
変わらないのに上手いと思わせる人です。
イラストレーターやいろいろな肩書きを持っている人だからきっと
その引き出しの多さが演技の幅にも役立っているのでしょう。

彼の妻役を演じた真木よう子さんは「さよなら、渓谷」がたまたま
彼女に合っていただけだったような感じがしました。

「そして、父になる」正解はなくて、考えさせられて、泣けて
そして癒された作品でした。
是枝監督、ありがとう!
by zac90109 | 2013-09-30 23:19 | 映画